ポリエチレンフォームは、クッション性があり、さまざまな形状に加工できるため、医療や介護現場で活用されています。

この記事では、ポリエチレンフォームの選び方や、具体的な活用事例を紹介します。

使用用途に適したポリエチレンフォームを選べるようになるため、ぜひ最後までご覧ください。

医療・介護業界で使用されるポリエチレンフォームとは

ポリエチレンフォームとは、ポリエチレン樹脂を発泡させたシートです。

ポリエチレンフォームには、厚みや長さ・硬さなど、さまざまな種類があり、使用場所に合わせて使い分けられています。

身近な使用例では、以下のようなものがあります。

上記の他にも、さまざまな環境で使用されています。

また、明るい色や暗い色などカラーバリエーションが豊富なのも特徴です。

医療介護業界で使用されるポリエチレンフォームの種類

ポリエチレンフォームは、気泡の形状や発泡倍率の違いにより、多くの種類があります。ここでは、医療介護業界で使用されるポリエチレンフォームの種類を解説します。

気泡の形状

ポリエチレンフォームは、ポリエチレン樹脂を発泡させて作るため、無数の小さな泡が内在しています。泡の形状により2種類に分けられます。

独立気泡

独立気泡は、それぞれの泡が他の泡と繋がっていない構造です。

内部の空気が外へ逃げにくいため断熱性が高く、防水性もあります。防水性の高いポリエチレンフォームは水に浮くため、ビート板や救命胴衣にも使用されています。

次に紹介する連続気泡と比べると反発性が強く、指などで潰しても元の形状に戻りやすいです。

材料は違いますが、発泡スチロールも独立気泡です。

連続気泡

連続気泡は、それぞれの泡が他の泡と繋がっている構造です。

内部の空気が出入りしやすく、潰れやすくクッション性に富んでいます。また、水分を含むため、吸水性もあります。食器用スポンジに使われることがあります。

大まかな区別は、以下の通りです。

  • 独立気泡:反発力が強く水に浮く
  • 連続気泡:しなやかでクッション性が高い

発泡倍率

発泡倍率とは、材料となるポリエチレン樹脂を、元の体積の何倍に発泡させたかです。

6倍・14倍・25倍・40倍など、さまざまな発泡倍率があります。

発泡倍率が大きいほど軟らかく、低いほど硬いポリエチレンフォームが完成します。発泡倍率が低いポリエチレンフォームは材料を多く使用するため、価格が高くなります。

緩衝材として使用する場合、軽量物には発泡倍率が低いものを、重量物には発泡倍率が高いものを使用します。

バリエーション豊富なカラー

ポリエチレンフォームには、さまざまなカラーがあります。

ポリエチレンフォームはコルセットや義肢・義足に使用されることがありますが、明るい色を使用すれば、気分が落ち込んでいる人の気持ちを和らげられるでしょう。

ポリエチレンフォームとEVAの違い

ポリエチレンフォームに似ている素材に、「EVAフォーム」があります。

それぞれの違いは、以下の通りです。

  • ポリエチレンフォーム:強度と耐衝撃性が高く、製品の緩衝材に向いている
  • EVAフォーム:軟らかく復元性が高い、グリップ力があり滑りにくい

EVAフォームは復元性が高く、介護マットなどに使用すると、ヘタリにくく長期間の使用に耐えられます。

ポリエチレンフォームでできる加工の種類

ポリエチレンフォームは、用途に合わせてさまざまな加工が可能です。

スライス

スライスは、材料をご指定の厚みに加工することです。

使用する材料にもよりますが、5mmから100mmほどまでご指定できます。

材料を厚くスライスして断熱性能をアップする、薄くスライスして隙間に差し込むなど、使用場所に合せて加工できます。

カット

スライスが厚みを加工するのに対して、カットは縦*横のサイズを自由に加工できます。

  • 縦100mm*横100mm
  • 縦500mm*横325mm
  • 縦900mm*横1000mm

細かなサイズへのカットも対応できるため、電子機器の内部に緩衝材として使用するなど、さまざまな活用方法があります。

打ち抜き

打ち抜きは、金型を作成して円柱や星型・キャラクターの形など、ご希望通りの形状に加工することです。

初期費用として金型代は発生しますが、人の手でカットするのと比べてキレイに加工できます。

また、細かい部品を大量に製作するのにも向いています。

テープ貼り、張り合わせ

ポリエチレンフォームとポリエチレンフォームをテープで貼り合わせて、厚みを増やす・異なる材料を組み合わせることができます。

サンプルカッター加工

CADなどで図面を用意していただき、弊社のプロッターと呼ばれる機械に読み込ませて、図面通りに加工する方法です。

細かく複雑な形状にも対応でき、少量からの作成もできます。

大量に加工する際は打ち抜きの方が安価ですが、サンプルを一つだけ作りたい・数十個作成して継続的に発注するか分からない、などの場合はサンプルカッターが適しています。

ななめカット

角度や寸法を指定していただき、ポリエチレンフォームをななめにカットする加工方法です。

段差を解消するために階段の角度に合わせてのななめカットや、寝たきりの方の体勢を変えるためのじょくそう防止ウレタンの作成の際などに活用されます。

医療・介護業界で使用されているポリエチレンフォームの具体例

医療・介護業界では、義肢・義足や、クッション材など、さまざまな場所で活用されています。ここでは、医療・介護業界で使用されているポリエチレンフォームの具体例を紹介します。

義肢・義足の緩衝材

義肢・義足の硬い部分が、そのまま肌に当たると着け心地が悪く、傷ができる可能性もあるため、クッション材としてポリエチレンフォームが使用されます。弾力や復元性の高いEVAフォームが使用されることもあります。

寝浴マット

寝浴など介助入浴をする際のストレッチャーに取り付けるクッション材です。

水を通さないため、カビの発生を抑制できます。また、図面をいただければ、同じ寸法で製作可能です。

クッション

転倒した際の衝撃を和らげるために、ポリエチレンフォームが使用されています。

リハビリ中の転倒や、ベッドから落下した際の衝撃吸収用として使用可能です。

クッションには、ウレタンフォームが使用されることもあります。ウレタンフォームについては、以下のページをご覧ください。

まとめ

医療・介護業界では、さまざまな箇所でポリエチレンフォームが使用されています。

ポリエチレンフォームは気泡の形状により、空気の出入りがしやすい連続気泡と、防水性の高い独立気泡があります。

その他にも、発泡倍率により軟らかさが異なるため、使用用途に合せて最適なポリエチレンフォームを選んでください。

ウレタンアシストでは、スライスや打ち抜き・貼り合わせなど、さまざまな加工が可能です。

図面をいただければご希望の形状にカットできるので、まずはお気軽にご相談ください。